どのような立派なきものを着ていても、シミをつけたり、袖口、衿山、裾が汚れたままを着ていては、美しさは台無しです。そうかといって、洋服のように度々洗濯に出しては、素材、仕立て方の違うきものにとってはよくありません。
従って、まずは大切なことは、きものを着た時汚さないように注意することです。次に着たあとの手入れと防湿、防虫に注意すれば、きものはいつまでも美しさを保ち、長持ちさせるコツと言えます。
■汚さないようにするために
きものを着る前には、手、手首を洗っておくことはもちろんですが、衿首や足首も汚れを落としておき、衣裳敷の上で着るようにします。
外出先で座る場合は、手の汗ばむ人はハンカチの上に手をのせるようにすると汚れが違います。また、ナフキンのない場合、食事のときも大判のハンカチをひざの上にかけるようにしましょう。
戸外のベンチなどには、腰掛けないように注意しますが、どうしてもの時は余分に持った大判のハンカチを敷く心掛けが大事です。
柑橘類や汁気のある食べ物、油のはねるものは、できるだけ避けた方が無難です。
着たあとの処理
脱いだきものや帯は、すぐたたまないで、汚れがあったらすぐに始末し、肌のぬくもりをとるために、30分くらい陰干しにして、風を通しておきます。
軽くホコリをはたき、真綿かビロードで作った小ぶとんで、全体を丁寧に拭きます。
きもののシワは、かけておくだけでとれるものですから、特別のとき以外はアイロンは避けます。
たたむときの注意としまい方
それぞれ種類によって、たたみ方は違いますが、いずれも縫い目から2mmほど、はずして折った方が縫い目の糸をいためません。折り目がまっすぐ通っていることが来た時の美しさの要素です。
特にやわらかいきものは、後巾、袖などに白いハトロン紙をいれておくと、ズレジワを防ぐことができます。
一枚一枚別々に保存袋や、木綿風呂敷(色でないもの)に包んでしまいます。
タンスは、総桐が見た目にも美しく、湿気を防ぎますので、きものにとっては最適です。
ひと昔前までは、湿気をきらう絹のために、虫干しとか土用干し、寒干しを行ないましたが、今は建物の関係で、行う方は少なくなりました。しかし、日常あまり着る機会が少なくとも、せめて一年に一回は、きものに深呼吸させてあげましょう。